年末恒例のミニアチュール展のご案内を申し上げます。テーマは「楽ーＲＡＫＵ」。「楽」という言葉には様々な意味が含まれていますが、その解釈は作家夫々に自由に捉えていただきました。むつかしいこの時代を「楽」に生きるヒントを見出していただければうれしいです。７９人の個性ある作家による作品展、お楽しみください。（芽楽）

　三波さんは、これまでおよそ絵の題材とはならなかった、カーテン、ハンガー、イス、コップ、タイル、車止め、クリップなど身近な何の変哲もない素材をモチーフに、油彩や一部鉛筆などを使い特異な表現手法で制作している。そんな彼女の絵のどこに惹きつけられるのか、確かな言葉が浮かばないが、ぬくもりやなつかしさ、素直に入っていける気分を覚える。「意味」というものを殊更強調しない不思議な魅力を持った作品である。きっと絵の中に豊かな空間（あき地）があるにちがいない。（芽楽）

　森井さんは１９７９年滋賀県大津市の生まれ、愛知県立芸術大学及び同大学院で油絵を学んだ。
初めて森井作品を目にしたのは２００７年はるひトリエンナーレである。そのシンプルな絵に強いインパクトを覚えた。まず下地がしっかり作ってある。次に鉛筆で大まかな構図が練られているが、あえて残したのか鉛筆の跡が残っている。あとは筆か刷毛で太い線でカタチ（人体らしき）が描かれている。最小限の色、大胆なカタチのその絵は、スピード感、力強さ、小気味良さがあった。
　その後の２０１１年ＡＩＣＨＩジーン展ではカラフルな色使いで二つの相対したカタチが描かれていたが、二つのカタチと余白のバランスが面白く、美しかった。
　「感情長屋」というサブタイトルがついている今展、さてどんな作品が展示されるか？　お楽しみください。（芽楽）

　増田さんは、現代を表現する作家です。子供の頃から親しんできた漫画や映画、広告・雑誌などさまざまな文化を反映しています。作品から現代の風俗、趣味嗜好など様々な人間像が窺えます。それらの作品は、確かな描写力、色調に加え、丁寧に仕上げられた質感も味わい深い。
　今展の新しい作品では、より実際的な場面を想定しながらこれまでとは少し異なったアプローチを試みています。（芽楽）

□作家メッセージ
　今回の展覧会タイトルにしたhalf remembered dreamは��半分だけ憶えている夢�＝Aみたいな意味です。寝ているときに見る夢は現実の延長で描かれながら、実際の現実から離れたりもします。夢と現実を行ったり来たりする感じ、というのが今回のテーマの一つになってます。ー増田恵助

1981年　東京都生まれ
2004年　埼玉大学教育学部　国語専修　卒業
2006年　埼玉大学大学院教育学研究科美術教育専攻修了
2010年　愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画領域修了
主なグループ展
2011年　ULTRA004(スパイラルガーデン/東京)
　　　　Fresh2011 4人展（伊勢現代美術館/三New-laid 　　　　　　eggs vol.2GALLERYMoMoRyogoku/東京）トー　　　　　　キョーワンダーウォール2011（東京都現代美術館）ワンダ　　　　　ーシード2011（ワンダーサイト渋谷/東京）
2010年　モンブランヤングアーティストパトロネージ2010　　　（銀座モンブラン本店）アートアワードトーキョー　　　　丸の内2010（丸の内行幸通り地下）
個展
2011年　増田恵助展（ギャラリー和田/東京）
　　　　technicolor（ギャラリー芽楽/名古屋）１２

　大がかりなインスタレーション作家としても知られる現代美術家、広瀬淑子さんは近年、専ら「花」をモチーフにした作品を多く手掛けている。紫陽花、さくら、コスモス、・・・多くのの草花を、具象、抽象、平面、立体など多様な表現方法で描いてきた。そこには、自然への慈しみ、憧憬、宇宙観など様々な想いが込められている。
　今展では、故郷南木曽にも連なる、アトリエ付近を流れる木曽川沿いの草花がモチーフである。これまでにも増して情感豊かに描かれた新作展、是非ご高覧ください。（芽楽）